【IPO分析】業種人気がIPOの初値に及ぼす影響

【IPO分析】IPOの業種人気と初値騰落率の関係について分析しました。

●業種人気の概説

セカンダリーマーケットにおいて業種の人気が重要なのはもちろん、IPOにおいても同様に業種人気は重要となっています。
業種人気は、時代ごとに遷移しますが、当サイトの業種人気の算出方法であれば、実態の業種人気を反映することができます。
例えば、近年では情報通信業の業種人気が高くなっています。2016年からのデータで情報通信業の初値騰落率は、156.7%となっています。全体の初値騰落率92.9%と比較して、情報通信業の初値騰落率が高水準にあることがわかります。
※当サイトでは、IPOにおける業種人気を業種毎の初値騰落率の統計から算出しています。

●IPOにおける業種人気の影響

上述のように、IPOにおいて業種は初値に大きく影響しており、IPOの銘柄が上場した際に初値の上昇に影響を与える評価項目の一つです。
下図は、2016年からのIPOのデータをまとめたもので、IPOの初値騰落率と業種人気の関係を表したものです。業種人気のスコア増加に従って、初値が上昇しやすくなっている傾向が見受けられます。
※業種人気のスコアは、当サイトで独自に算出しています。
※当サイトで評価した業種人気は、銘柄個別の評価の画像にて業種人気としてスコアを公開しています。

IPOの業種人気の影響2017

ただし、業種人気のスコアが高い領域においても初値騰落率の低いプロットが見受けられます。これは他の要素、例えば吸収金額やロックアップ、成長力等により影響を受けたものと考えられます。
このことからIPOは、業種人気だけでは、初値の予想が困難なため、吸収金額やロックアップ、成長力の要素を含めて評価をする必要があります。
※IPOにおける吸収金額の影響のまとめはこちらです。
※IPOにおけるロックアップの影響のまとめはこちらです。
※IPOにおける成長力の影響のまとめはこちらです。

●業種人気がIPOの初値に与える影響の考察・まとめ

IPOの初値騰落率は、業種による影響を大きく受けています。吸収金額や公開株式数が少なく、成長力があり、ロックアップの掛かりが良く需給が安定していたとしても、業種がパッとしなければ初値の上昇は難しいかもしれません。
逆に考えると、成長力やロックアップ等のパラメータが低くても、業種人気が高ければ初値上昇の可能性があるものと考えられるかもしれません。
対象業種の中でも特にトレンドに乗った事業テーマの場合であれば、初値の上昇が見込める可能性があります。
例えば、情報通信業の中でもビックデータやIot、自動運転関連など将来的に大きな発展が見込めるテーマの場合は、特に初値上昇の可能性が高まるものと考えられます。

業種人気は、IPOの投資を行う上で良否の判断材料となるパラメータではありますが、業種人気だけで全てのIPOを判断できるわけではありません。
そこで、当サイトでは業種毎の初値騰落率のデータから業種人気というパラメータを算出し、初値上昇の要素の一つとして評価を行い初値騰落率の予想を行っています。
※IPOの初値評価方法と予想に関してこちらです。