【IPO分析】成長力がIPOの初値に及ぼす影響

【IPO分析】IPOの成長力と初値騰落率の関係について分析しました。

●成長力の概説

企業が成長する上では、成長性、収益性、資本効率性、安全性など様々な要素が必要となってきます。IPOも株式投資である以上、それらの分析が必要となってくるものと考えられます。当サイトでは、これらの要素の中でも特に初値に対する影響が大きいと思われる成長性及び収益性を選定し、成長力の評価を行っています。
ここで言う成長性及び収益性とは、下記の通りです。
成長性:売上高成長率や利益成長率
売上高成長率=今期売上高/前期売上高
利益成長率=今期純利益/前期純利益
収益性:自己資本利益率(ROE)
自己資本利益率=純利益/自己資本

ただし、成長性に関しては、IPOの評価を行う上で計算式に少し手を加えています。
それは、最大3年分の売上高や純利益の成長量を自己資本で除す、というものです。
名称としては、下記になります。

  • 自己資本売上高成長率または、自己資本売上高増加率
  • 自己資本利益成長率または、自己資本利益増加率

※自己資本売上高成長率及び自己資本利益成長率は、当サイト独自の指標となります。
また、この指標は、IPOの初値を評価する上で公開はしていませんが、銘柄個別の評価の画像にて成長力として公開しています。

●IPOにおける成長力の影響

成長力は、IPOの銘柄が上場した際に初値の上昇に影響を与える評価項目です。
下図は、2016年からのIPOのデータをまとめたもので、IPOの初値騰落率と成長力の関係を表したものです。成長力のスコアが大きくなるのに従って、初値が上昇しやすくなっている傾向が見受けられます。
※成長力を算出するにあたり、自己資本売上高成長率および自己資本利益成長率、自己資本利益率にウエイトを掛けています。

成長力と初値騰落率の関係

成長力が低スコアの領域では高い初値騰落率のプロットが数点見受けられ、成長力が高スコアの領域では低い初値騰落率のプロットが見受けられます。これは他の要素、例えば吸収金額やロックアップ、業種人気などにより影響を受けたものと考えられます。

このようにIPOは、成長力だけでは初値の予想が困難なため、吸収金額やロックアップなどの要素を含めて評価する必要があります。
※IPOにおける吸収金額の影響のまとめはこちらです。
※IPOにおけるロックアップの影響のまとめはこちらです。
※IPOにおける業種人気の影響のまとめはこちらです。

●成長力がIPOの初値に与える影響のまとめ

IPOとなる企業は、マザーズやJASDAQなど成長の著しい市場への羽ばたいていきます。その中でも特に成長の著しい企業はより高く評価され、初値の高騰も期待できます。
当サイトで評価する成長力のファクターは、自己資本売上高成長率、自己資本利益成長率、自己資本利益率になります。
ここで記載している自己資本売上高成長率及び自己資本利益成長率は、当サイト独自の指標となります。
IPOの初値予想を行う上で成長力は、吸収金額ほど初値に影響を与えるものではありませんが、初値と成長力の関係から初値上昇の傾向が伺え、IPOの初値を評価する上で重要なファクターの一つであると言えます。

成長力は、IPOの投資を行う上で良否の判断材料となるパラメータではありますが、成長力だけで全てのIPOを判断できるわけではありません。
そこで、当サイトでは、この成長力というパラメータを初値上昇の要素の一つとして評価し、初値騰落率の予想を行っています。
※IPOの初値評価方法と予想に関してこちらです。