【IPO分析】上場日から初値形成までの日数が高値の上昇に及ぼす影響

上場日から2日目に初値がついた際の高値について

IPOで上場する際に人気の高い株は、上場日に初値がつかず次の日以降に初値がつくこともあります。
そうした場合、1日目の初値上昇の勢いが落ち着いていることが多いように思います。
上場日から2日目で初値上昇の勢いが落ち着くと仮定すると、高値などの上昇幅も減少するのか分析してみました。
併せて終値と10日後終値も記載しています。
※終値および10日後終値の勝率等は、高値評価同様に初値で買った株価を基準として算出しています。

上場日から2日経つと初値の上昇が落ち着くと、高値の上昇幅も減少するのかと勝手に思い込んでいました。
今回分析した結果を見ると思い込みとは違う結果が出ました。
※分析データは、2016年から2017年までのIPOのデータを参照しています。

上場日から初値のついた日数の違いが高値に及ぼす影響

上場1日目 高値 終値 10日後終値
企業数 126 126 126
勝利企業数 73 54 52
勝率(%) 57.9 42.9 41.3
騰落率(%) 9.0 -1.0 3.3

※勝利企業数の基準は、高値は5%以上、終値および10日後終値は0%超です。

上場2日目 高値 終値 10日後終値
企業数 45 45 45
勝利企業数 31 22 19
勝率(%) 68.9 48.9 42.2
騰落率(%) 9.4 0.5 3.8

※勝利企業数の基準は、高値は5%以上、終値および10日後終値は0%超です。

高値を見ると、勝率は上場から1日目よりも2日目の方が11%も高いですね。
騰落率でいえば2日目の方が0.4%高いです。
ちなみに、全体の高値の勝率は61.0%、騰落率は9.1%です。
詳細は、高値評価のページに記載しています。
※終値と10日後終値に関しても同様で、上場日から2日目に初値がついた方が若干ですが勝率も騰落率も上昇しています。

上場日から2日目になると、IPOの過熱感が落ち着いて初値買いの投資家が初値買いを控えることで、初値上昇の勢いが落ち着くと仮定します。
しかし、セカンダリーでの買いが一定数(一定金額)あるとすると、上場1日目の初値上昇の勢いが抑えられた2日目の方が高値の上昇がしやすい、ということでしょうか。
例えば、セカンダリーで10億円の買いがあるとします。
上場1日目に株価が5000円になりそうだったけど、2日目に4500円で初値がついた場合
株価5000円に10億円の買いが入るより、4500円に10億円の買いが入る方が高値の上昇幅は大きいですよね。


上場日から初値のついた日数の違いが高値に及ぼす影響(評価基準適用)

上場1日目(評価基準適用) 高値(高値評価基準) 終値(終値評価基準) 10日後終値(高値評価基準) 10日後終値(終値評価基準)
企業数 64 26 64 26
勝利企業数 48 15 31 15
勝率(%) 75.0 57.7 48.4 57.7
騰落率(%) 11.9 3.9 11.1 18.3

※勝利企業数の基準は、高値は5%以上、終値および10日後終値は0%超です。
※評価基準は次の通りです。高値評価基準は9点以上、終値評価基準は8点以上です。

上場2日目(評価基準適用) 高値(高値評価基準) 終値(終値評価基準) 10日後終値(高値評価基準) 10日後終値(終値評価基準)
企業数 19 9 19 9
勝利企業数 12 6 8 4
勝率(%) 63.2 66.7 42.1 44.4
騰落率(%) 10.7 5.5 -2.2 -3.2

※勝利企業数の基準は、高値は5%以上、終値および10日後終値は0%超です。
※評価基準は次の通りです。高値評価基準は9点以上、終値評価基準は8点以上です。

個人的には、評価基準を適用していない分析結果の有意差がより顕著になるものと考えていました。
しかし、評価基準を適用すると先に述べたものと逆で、上場から2日目よりも1日目の方が勝率、騰落率共に上昇していました。
また、上場から1日目か2日目かを問わず、全体の高値の勝率及び騰落率を上回っていました。
このことから評価基準を適用すると、上場1日目に初値がついた方が高値評価の精度が高まる可能性があると考えられます。

まとめ

●評価基準適用無し
・上場から2日目に初値がついた場合の方が、高値の勝率および騰落率は高い
・上場から2日目の勝率および騰落率は、高値の全体の勝率および騰落率よりも高い
●評価基準適用有り
・上場から1日目に初値がついた場合の方が、高値の勝率および騰落率は高い
・上場から1日目、2日目の勝率および騰落率は、高値の全体の勝率および騰落率よりも高い

初値が上場日から2日目につくデータは少なく、評価基準を適用したものはさらに少ないため、データ数が必ずしも十分とは言えないことからあくまで参考値としてご覧ください。
終値の評価に関しては、まだ公開できるレベルの精度には至っていたないため、公開していません。余談としてご覧ください。